『珈琲を科学する』とは
『珈琲を科学する』は時事通信社から出版されている本で、「伊藤博」が書いたものです。
1997年に第1刷が出版されました。
コーヒーについての情報を詳しくまとめた本で、マニアにはたまらない一冊になっています。また、コーヒーを研究したいという人に向けても、研究の手法やテストの方法に言及していて、濃い内容になっています。
価格:1,089円 |
『コーヒーの科学』を実際に読んでみて
前述した通り、コーヒーマニアに向けた本のように感じました。初心者の方にはあまりお勧めしづらいかなと思います。
例えば、生産地ごとの等級の付け方の話は、次々に知らない単語が出て来るので、読みづらかったです。(初登場の時には、それぞれがどういう意味か言及してくれています。)
ブレンドの方法について言及しているのは、珍しく、参考になりました。
自分がなるほどと思った情報を書いていきます。
- ローストの8段階(浅:ライト→シナモン→ミディアム→ハイ→シティ→フルシティ→フレンチ→イタリアン:深)
- コーヒーはアカネ科の植物
- コーヒーはコーヒーノキというエチオピア原産の熱帯・亜熱帯性の植物
- アラビカ種は自家受粉で、花粉は粘り気があって拡散しにくい。対して、他家受粉のロブスタ種・リベリカ種の花粉は風で飛散しやすいように軽く、乾燥している。
- コーヒーの病虫害で代表的なものはさび病とベリーボーラーである。さび病は胞子が風によって運ばれ、コーヒーの葉の裏側の気孔から組織内へ菌糸を伸ばすことにより、コーヒーノキの栄養が失われるものである。ベリーボーラーは害虫であり、成熟し始めた果実に侵入して、産卵し、孵化した幼虫は種子を食べて成長する。
- コーヒーの品種はアラビカ種、カネフォーラ種、リベリカ種の三つが元になっているので、植物学上これらを三原種と呼ぶ。アラビカ種、カネフォーラ種はアカネ科、エウ・コフィア属、エリスロ・コフィア亜属に分類される。リベリカ種はパチ・コフィア亜属に分類される。
- アラビア種の形態状の二大変種とも言える伝統的品種は、ティピカとブルボンである。ティピカ:アラビカ原種に近い品種で、中南米で広く栽培されてきた長形の豆で風味良好だが、さび病に弱く、生産性が劣る。ブルボン:ブルボン島原産であり、ティピカの突然変異でできた。小粒丸みの豆で長S字のセンターカットをもつ。香りがよく、ブルボン・サントスに代表されるブラジルの良品種。収穫率もかなり高い。
- ロブスタ種はカネフォーラ種の代表的変種。苦味が強く、インスタントコーヒーや缶コーヒーに使われることが多い。
- リベリカ種:西アフリカのリベリア原産で、平地、低地の高温または低音に環境順応性が高く、よく成長する。三原種の中で、最も果実が大きく、落果しにくい。耐病性も高い。
- コーヒーは生産地で味が異なる。 ブラジル:世界の生産量の約30%を担う。ブラジルは栽培規模が大きいので、各地から集められた収穫果のばらつきを独自に統一した厳しい審査基準によって選別処理する。ブレンドには不可欠である。 コスタリカ:コーヒーはバナナと並ぶこの国を代表する農産物。高い標高で育てられた豆は、大粒で、適度の酸味と柔和さを持ち、配合に適する。 グアテマラ:火山が多く、火山灰土壌に恵まれる。高い標高で生産された豆は良質の酸味とコクを持ち、粒長で、大形である。 スマトラ:インドネシア最大のコーヒー生産地
- ブルーマウンテンはジャマイカにある。
- 欠点豆の種類は多い。 黒豆:前期の豆が落ち、土と混じって腐敗し、黒くなったもの。 発酵豆:風などで落下した豆が発酵したもの。黒豆の前段階。 カビ豆:カビが生じた豆。 未熟豆:気象条件や収穫時期などの要因で、未成熟となった豆。 砕け豆、貝殻豆:過乾燥や機械による圧力で、砕けた豆。 虫食い豆:虫に食べられた豆。 ドライチェリー:未脱穀の豆。
- フルシティ程度が、アイスコーヒーに適する。
- コーヒー豆の保存状態絵を左右する四条件は、温度、湿度、酸素、光である。全て低く抑えるのが好ましい。
- コーヒーは消臭剤にも使われるほど、匂いを吸着しやすい。
- エスプレッソは蒸気圧による熱湯噴出式抽出機で、エクスプレスと同じ意味。
- ハンドドリップの方法
①新鮮な炒り豆を常温にする→②新鮮な水をポットに入れて沸騰させる。→③ろ紙をドリッパーにセットする。→④豆を挽く。→挽き立ての粉を入れる。→⑤少量を真ん中に注ぐ。(蒸らし:粉を充分膨張させ、組織を広げる)→⑥膨張の後の収縮が起こらないうちに、真ん中から外側へ渦を巻くように入れ、また真ん中へ戻ってくる。→⑦繰り返す。→⑧液体を混ぜて味を均一にし、終了。 - コーヒーテイスティングの方法
ネガティブ・テスト:音を立てて啜るように飲み、鼻に抜く。ブラジルやアメリカで始まった。
ポジティブテスト:コーヒーをゆっくり口に含み、ワインのように舌を動かしながら味をとる。ヨーロッパでは主流。
まとめ
一冊でよくこれほどまでの情報を詰め込めたなと思わせてくれるような本です。コーヒー初心者の私でも、理解できるような内容から、マニア向けのような知識まで取り扱った本だと思います。
意外と読みやすいのでぜひ一度読んでみてください。